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毎日歯を磨いても虫歯になります!必要なのは、正しいセルフケア。

2019年10月26日

1924年にJ Kalian Clarkeによって発見された虫歯菌:Streptococccus mutans(ミュータンス菌)の虫歯形成メカニズムについては、これまで様々な研究が積み重ねられてきました。

それにより、虫歯の予防は飛躍的に進化し確立されています。それなのに日本は虫歯大国です。なぜでしょう?

これは、その正しい予防方法が浸透していないことに原因があるのです。

虫歯予防には、

  • 歯磨き
  • フロス
  • 歯間ブラシ
  • フッ素
  • キシリトール

などに効果があることを多くの方がご存知だと思いますが、さて正しく使えているのでしょうか?

今回は虫歯予防・虫歯の進行抑制の観点から日々のセルフケアについて解説していきたいと思います。

 

予防の全ては歯磨きから

歯ブラシ販売コーナー

皆さんは歯ブラシを買う時にどこでお買い求めになるでしょうか?ドラッグストアなんかに行くと、凄い数の歯ブラシと歯磨き粉が並んでいます。

 

しかし、その歯ブラシの使い方を詳しく書いた説明書が付属しているものはあるでしょうか?

 

虫歯予防もそうですが、歯周病予防の基本も歯磨きです。正しい使い方を解説していきたいと思います。

 

歯ブラシを選ぶポイント

歯ブラシの清掃効率はとても重要です。歯ブラシには、歯に優しく、効率よく磨けるものがあります!正しく選びましょう。

ポイントは3つ!

  • 柔らかい毛質のもの
  • 毛束の多いもの
  • 握りやすいもの

 

私は、1日1回10分以上しっかり磨く時間を作っています。

それだけ磨くと歯ブラシといえども、少しずつ歯や歯ぐきを傷つけてしまいます。ブラッシングは毛質と握り方でかなり違いますので、歯ブラシ自体の清掃効率も重要になってくるのです。

 

ドラックストアなどで販売されている歯ブラシは、200〜300円が市場の平均価格ですが、そのクラスの歯ブラシを2〜3週間で交換するのであれば、歯科医院専売の1000円くらいの毛質が良い歯ブラシを2〜3ヶ月使うのとコストは変わりないと思います。

こちらの方が清掃効率もいいのでオススメです。

 

磨き残しが虫歯のはじまり

ブラッシングの手順を示した口腔内写真
歯を磨く時に気をつけないといけないのは磨き残しがない事です。テレビやパソコンを見ながら歯を磨いているうちに、どこまで磨いたかわからなくなってしまった事はありませんか?それが磨き残しの原因になります。ポイントは簡単、1つ!

 

歯を磨く順番を決める!

 

私も何かをしながら歯を磨くことが多いですが、いつも同じ順序で磨くので磨き残す事はありません。

 

ゆっくり磨きながら舌(ベロ)で、歯の表面がツルツルになっている事を確認しながら磨けるので仕上がりが全然違います!

 

歯ブラシの毛先を正しく当てるコツ

磨くべきポイントを示した口腔内写真

歯を磨く理由は、虫歯菌や歯周病菌を物理的に取り除くことです。その目的を達成するためには、バイキン達がいるところに効率良く歯ブラシの毛先を当てないといけません。

毛先を当てるポイントは3つ!

  • 歯の咬合面(かみ合わせ)
  • 歯肉溝付近(歯と歯ぐきの間)
  • 歯間部(歯と歯の間)

虫歯菌・歯周病菌が居ないところに毛先が当たっても予防にはなりません。

これでは何時間歯を磨いても意味がないですね。敵がいるところに毛先を当てて、一網打尽にしてやりましょう!

 

歯磨きという最強のセルフケア

歯磨きを指導しているとよく聞かれる質問があります。

  • 何分くらい歯を磨けばいいですか?
  • 1日何回磨けばいいですか?

歯磨きを何かの義務のように考えていて、その目的の達成をゴールとしていないから出る質問かもしれません。

これまで、私たち歯科医が皆さんにうまく伝えることが出来ていなかったことが原因です、申し訳ない…

答えは

  • 何分ではなく、磨けるまで磨いてください
  • ご自分のライフサイクルに合わせて、お口の中のバイキンがなるべく少なくなるような回数で磨いてください

です。

歯磨きの目的とゴールを意識して効率よく磨くようにしてください。結果として虫歯の予防と進行抑制が達成されていないと意味がないですからね。

 

痒いところに手が届く、フロスと歯間ブラシの違い

さて、歯磨きだけで、歯の周りの虫歯菌・歯周病菌達はすべて除去する事はできるのでしょうか?

答えはNoです。清掃器具の違いによる清掃効率を示すグラフ

残念ながら、歯ブラシをどんなに効率的に当てても磨けないところがあります。

その部分の清掃に欠かせないのがフロス歯間ブラシです。どちらも使い方が簡単ではありませんので、それぞれの使い方について少し解説したいと思います。

 

フロスの使い方

フロスの使い方

歯と歯が接するところには、物理的にモノが入らないようにできています。このような部位は糸のような細いモノでしか対応できないのです。フロスのポイントは3つ!

  • 20cmくらいにフロスを切って輪っか状に結ぶと使いやすいく無駄が少ない
  • 上の歯と下の歯で持ち方を変えると使いやすい
  • 歯と歯の間に挿入し、歯に糸を擦り付けるようにして引き上げると効率よくとれる

歯と歯の間に、フロスを出し入れするだけでは歯にこびり付いたバイキン達は除去出来ません。

ポイントは糸を歯に擦り付けるです!

 

フロスの使い方ポイント

また、少しコストは上がりますがホルダー型のもの(いわゆる糸ようじ)を使うのも良いと思います。歯ぐきを傷付けないように気を付けましょう。

 

フロスの種類

 

歯間ブラシの使い方

年齢を重ねてくると健康な人でも少しずつ歯ぐきが変化してきます。昔より歯と歯の隙間が広くなった気がすると感じた事はありませんか?

そう感じる方はフロスより歯間ブラシの方が清掃効率が良いでしょう。歯間ブラシのポイントは3つ!

  • それぞれの歯と歯の隙間にフィットしたサイズを使用する
  • 歯間ブラシを隙間に対して垂直に挿入する
  • 歯にブラシを擦り付けながら引き抜く

フロスと同じように、歯間ブラシの出し入れだけでは十分にバイキン達は除去できません。

ここでもポイントは歯間ブラシを歯に擦り付けるです!

 

歯間ブラシのポイント

歯間ブラシにも、サイズ形状が違うものがいくつかあります。

自分にあったサイズと形状を歯科医院で選んでもらって、正しい使い方を教えてもらうことが一番いいと思います。

 

歯間ブラシの種類

三種の神器で虫歯の予防・抑制

今回は歯ブラシとフロス・歯間ブラシのポイントについてお話しさせて頂きました。

個人の歯の状態は千差万別!歯並び、歯周病の状態、被せ物の種類や大きさ、入れ歯の有無などでその清掃の難易度は大きく左右されます。

 

歯科医院では、皆さんに合うカスタマイズされた清掃方法を提案することができます。特に歯間ブラシのサイズ選びは、その清掃効率に大きく影響します。

自分に合ったセルフケアを身に付けて虫歯の予防・進行抑制に努めましょう!

 

 

 

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定期検診のすすめ

歯を守るためにできること。

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