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その癖、実は歯並びを悪くする原因かも!?幼児期にすべき「歯育て」とは!

2020年8月17日

今回のコラムも前回の続き、「歯育て」シリーズ第3弾です!

これまで、胎児期から3歳まで間の「歯育て」のポイントをお話させて頂きました。今回は永久歯が生え始める前の、3歳から6歳までの時期の「歯育て」についてお話したいと思います。

 

生まれてから6歳までの間に顎の成長は8割程が終わってしまいます。この時期にできる事をしてあげれば、その後に矯正治療が必要になった時にも必ず有利に働いてくれます!思い当たることがあれば実践してみてください!

 

歯並びを悪くする癖!

指しゃぶり

皆さんも多くの方がご存知でしょう。指しゃぶりは歯並びを悪くする癖の代表格です!

前歯には歯を前方に押し出す力が加わり、出っ歯や開咬(奥歯でしっかり噛んだ時に前歯が噛み合わない状態)の原因になります。4歳くらいをメドにやめさせるように促しましょう。

 

唇を噛む

悔しい時にも唇を噛む時はありますが、一瞬ですよね!?一瞬であれば問題ありませんが、持続的に噛むと歯並びにも影響が出てきます。

上唇を噛むと受け口(下の前歯が上の前歯より前に出てします)の原因に、下唇を噛むと出っ歯の原因になります。

 

舌を噛む

上下の歯は通常、かみ合わせる相手を求めるため上の歯は下に、下の歯は上に伸びていこうとします。しかし、その歯と歯の間に舌が入ってしまうとそれ以上伸びなくなってしまうのです。

つまり、前歯で舌を噛む癖があると、上下の前歯が噛み合わなくなってしまいます。奥歯だけしか上下の歯が噛んでおらず、機能的にかなり問題があり、歯を早期に喪失してしまうことにもなりかねませんので要注意です!

 

口呼吸

以前のコラムの中でも口呼吸には触れましたが、再度、触れてみましょう。

口呼吸をしていると舌の位置が下に下がってしまいます。本来であれば、舌は上顎にくっついており、上顎が横に広がるように働きます。しかし、下にあると上顎がうまく広がらず、それに合わせて下顎もうまく広がらないのです。

受け皿である顎の骨がうまく成長してくれないので出っ歯、開咬、叢生(ガタガタの歯並び)などの原因になるのです。

 

頬杖、うつ伏せ寝、横向き寝

矯正で歯を動かす力は大体100gから300gくらいです。一方、頭の重さは10kgの子供で大体1kgから1.3kgくらいですので頬杖をついたり、うつ伏せ寝や横向き寝をすると歯を動かす力の数倍の力がかかることになるので歯並びにも影響が出るのは当然です。

また、歯だけでなく顎の骨の成長に影響を与え、上下の顎の骨を歪ませるため、結果的に手術が必要な程の状態になる可能性もあるのでなるべく早くやめさせましょう。

 

筋トレが決めて!

悪習癖からの卒業

まずは歯並びを悪くする癖をやめさせること!原因の除去は医療の鉄則です!

これまで、いくつかの歯並びを悪くする「悪習癖」について解説してきましたが、それぞれが複雑に組み合わさって、現在の口の環境を作っています。しかし、実際に歯並びに関わる「悪習癖」を両親を中心とする周囲の人間だけで見つけて、やめさせることはかなり難しいと思います。

 

私にも中1と年中の男の子がいます。二人とも小さな時から「悪習癖」には気を付けていましたが、やはり、全ての「悪習癖」をコントロールするのはなかなか難しいです。それでも、二人とも今のところはそこそこの歯並びに育ってくれて、私なりにある程度のことは出来たかなと思っていますが、そこには私と家内の力だけではなく周囲の力もあったからこそだと思います。

 

すべては筋肉のバランス

歯並びを決めるのは歯の周囲の筋肉です。

歯の周りの筋肉は2つあり、舌と頬でどちらも筋肉の塊です。舌の筋肉が強ければ歯は外側に広がるし、逆に、頬の筋肉が強ければ歯は内側に倒れてくる。そして、最終的に歯はこの舌と頬の筋肉のバランスが取れた位置に落ち着くのです。

 

このコラムをお読みの皆さん全てが、それぞれの歯並びで奇跡的なバランスで維持されています。逆に言うと、この筋肉のバランスを無視して矯正装置でどんなにキレイに歯を並べても、「悪習癖」がコントロール出来ていないと「後戻り」が起こり、また、歯並びがまた悪くなるのがオチなのです。

 

正しい舌と頬の筋トレ

皆さんも筋トレをした経験があると思います。筋トレも鍛えたい部位を正しくトレーニングするためには正しい姿勢で正しい形で負荷をかける必要があります。間違った方法で筋トレをしてしまうと期待していた程の成果を得られないこともあるでしょう。

 

インターネットの中でも健康に良いとされる運動はたくさん存在しており、実践されている方も多いでしょう。しかし、それがあなたに本当に必要なものなのでしょうか?必要だとしても、正しく出来ているのでしょうか?やはり、プロの目線で問題点を指摘してもらって、正しくトレーニングするのが成果を出す近道ですね。

 

歯並びに関しても全く同じことが言えると思います!「歯育て」を理解している歯医者さんで、現在の歯並びと生活習慣をしっかり診断してもらい、「悪習癖」を少しずつなくして、歯並びを改善する舌と頬の筋トレを身に付けましょう!

子育てもそうですが、「歯育て」もうまく「第三者=歯医者・歯科衛生士」を使ってバランス良くやっていけるといいと思います。

 

歯医者さんと二人三脚!

やはり、プロの力をうまく使うのが最善だと思います!
永久歯は生えてきていませんが、この幼児期の顎の成長が著しい時期に正しい成長を促してあげることは大事なことでしょう。

具体的に「こんなお子さんにはこんな筋トレを!」とお伝えできればいいのですが、残念ながらそんなに簡単なものではありません。私たち歯科医師でさえ、注意深く経過観察を行いながら、治療方針を微妙に修正しつつ「歯育て」を行っています。

 

口腔筋機能療法

2019年4月から小児の口腔機能の改善に関する保険治療が認められました。
当院でも以下のようなトレーニングを必要に応じて指導しています。

  1. 噛むトレーニング
  2. 頬のトレーニング
  3. 唇のトレーニング
  4. 舌のトレーニング

その子に必要なトレーニングを無理なく、できることから指導できるのは基本的に歯科医師と歯科衛生士だけです。当院では、歯並び・生活習慣・虫歯の有無やリスクなどを考慮して定期検診のインターバルを決めています。これらのトレーニングも含めて定期的に見てくれるかかりつけを見つけてください!

 

マウスピースによる筋トレと悪習癖の改善

幼児期における積極的な歯並びに対する治療方法はこれまでもいくつも考えられてきましたが、どれも扱いが難しく小さな子供が使うものとしてはなかなか受け入れづらいものでした。

私の長男も明かに歯の並ぶスペースが足りなかったので顎を広げる装置を使用していました。しかし、小さい長男には受け入れ難く、最終的に使いたくなさから隠してしまい最近になってベッドの端から見つかりました…。

 

ここ数年でその分野は大きく変化がありました!既製品のマウスピース(商品名:プレオルソ)による舌と頬の筋トレと悪習癖の改善ができるようになりました。これまで装置の作製・調整と使いづらさを考えると画期的なものです。導入されているクリニックもかなり多くなりポピュラーな治療方法となりつつあります。

 

使えば使うだけ治療効果が得られ、もし、うまく使えない時もその子に合わせた利用方法で悪習癖をその子のペースで改善できるものです。お子さん・ご両親・歯医者の「歯育て」チームでうまく使うと大変有効なものとなるでしょう!

 

決して怒らず励ましながら!

小さな子供にとって、将来の歯並びなんてものは優先順位がかなり低いものです。なので、やはり大事なのは「怒らず、褒めて、励ます」ことです!

 

女の子は男の子などに比べて成長も早く、自分の見た目を気にするのも早いものです。うちのクリニックでも女の子は意識が高く小さい子でもしっかりと使ってくれる子が多いと思います。子供のモチベーションはどこに潜んでいるかわかりません、根気強く見守ってあげましょう。

 

余談です。我が家の長男も”すったもんだ”ありましたが、口腔筋機能療法をある程度継続した結果、そこそこ「歯育て」も上手くいっています。今は次男の番ですが、これまで舌のトレーニングだけでしたが、マウスピースも追加しようと考えています。

 

「成長期はあっという間です。必要な時に必要な処置ができるように定期検診は欠かさずに!」

 

 

▼▼これまでのコラムはこちら▼▼

https://selfmedia.club/column/tooth/murakami12/

https://selfmedia.club/column/tooth/murakami11/

https://selfmedia.club/column/tooth/murakami09/

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