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歯周病って治らない!?いやいや、しっかり治して守ろう!再発予防は日々のケアとプロのケア

2020年3月9日

マンモスの歯の化石先日、子供たちと「マンモス展」に行ってきました。

マンモスは1万年もの間シベリアの永久凍土の中でその姿・形を変えずに発見されました。この冷凍マンモスの胃の内容物から主食がイネ科の植物であったことがわかったそうです。

展示の中にマンモスのが展示されていたのですが、やはり、草食動物らしく臼歯と呼ばれる「磨り潰す」機能に特化した歯が発達していました。しかも、生涯で5回も生え変わるそうです、羨ましい…。それだけ「磨り潰す」という行為はに負担がかかって、ダメになるから生え変わる機能が備わっているのでしょうね。

 

私たち人間の28本(親知らずを含めると32本)の永久歯は1度生えるとその後は生え変わることはありません。マンモス以上に歯を大事にしていかないといけませんね。

今回のテーマは「歯周病の治療」についてです。
1本でも多くの歯を残していくために、歯を失う原因No.1である歯周病を撃退しましょう!

 

まずは歯周病の原因の復習から

プラークがびっしりついた歯

前回のコラムで解説したのですが、歯周病の原因は細菌の塊であるプラークと呼ばれるものです。この写真の方のように歯と歯ぐきの境目にベッタリと付いているのがプラークです。

このプラーク1gあたりに約1000億の細菌たちがいるわけなのですが、そんだけ細菌たちがいて悪さをしないはずが無いですよね!?

このプラークが、ジワジワと歯ぐきを腫れさせ、その下の骨を溶かしていくのが歯周病だということは前回のコラムで説明しました。詳しいことは、前回のコラムを参考にされてください。

 

原因が分かれば自ずと基本的な治療方法は見えてきます!プラークが原因である歯周病の治療のポイントは…

  1. プラークを取ること!
  2. プラークを付きにくくすること!

この2つが治療の基本となります。意外と単純でしょ!?

次の段落では、その具体的な方法について解説していきたいと思います。

 

歯周病治療の基本の「き」

歯ブラシの当て方テキスト

細菌の塊なので、「抗菌薬(抗生物質)が効くのでは?」と、お考えになる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、プラークは歯の表面に付着しているので血液を介してカラダ中の細菌をやっつける抗菌薬は効果がないのです。

また、うがいくらいの力でもベッタリとついたプラークは洗い流すことはできません。つまりは単純に機械的な力で擦り取るしかないのです。

 

まずは歯ブラシ!

プラークが原因ですので、そのプラークを除去するのが一番の治療方法で、その基本にあるのは歯ブラシです!

 

日常の診療の中で、清掃指導を行わないことはありません。メインテナンスで通われている皆さんにも、清掃指導は欠かさずに行います。それだけ重要で効果的だということです!

ポイントは次の3つ!

  • いつも同じ順番で磨いて磨き残しが無いようにする!
  • 歯ブラシを当てるところは歯と歯ぐきの境目
  • 1本あたり10秒ずつしっかり磨いてツルツルに!

治療の最初は、しっかりとしたブラッシングを習得することです。

いくら歯周病の名医がパーフェクトに治療をしたとしても、歯周病が再発しては元も子もありません。自分の歯はまず自分で守りましょう!

 

歯と歯の隙間、磨けていますか?

歯ブラシと歯間ブラシ

どんなに歯ブラシを上手に使っても、お口の中にはプラーク30%〜40%程残ってしまいます。

 

いったい、どこにそんなに残ってしまうのでしょうか?

 

実は、その磨き残しのほとんどは、歯と歯の間に存在するのです!

歯と歯の間に歯ブラシの毛先は中々入ってくれませんので、これを補うために歯間ブラシフロスを使うのです!

 

「どっちを使えばいいの?」

 

「これだ!」と言いたいところなのですが、一概に、歯間ブラシとフロスのどちらがいいかは言えません。

一般的に若い方にはフロス、年配の方には歯間ブラシを指導することが多いですが、皆さんの顔が一緒でないとの同じで、お口の中も千差万別!その方の歯と歯の間の大きさや歯並びに合わせて、最適な器具で効率的に清掃するのが決め手です。

 

結局のところ、この点に関しては専門家のアドバイスを受けることが一番の近道です!
かかりつけの歯科医院で的確なアドバイスをもらって、正しい歯磨き方法を身に付けましょう。日々のプラークの取り残しを無くして歯周病から自分の歯を守りましょう!

 

歯磨きに関しては、以前のコラムに少し書いていますので参考にされてください。

 

歯周病治療の基本の「ほ」

排水溝

排水溝のぬめりを掃除をした経験はありますか?

気持ち悪いですよね、ベッタリとくっついて水を吹きかけてもなかなか取れません。結局、パイプの継ぎ目だったり、段差だったりに溜まって擦り取るしかありません。

 

実は、このぬめりプラークは同じ細菌の塊なんです!ということは、溜まるところも同じようなところに溜まることは予想が出来ますね。

プラークも段差があったり、ギザギザしているところに留まって少しずつ大きな塊になって悪さをするのです。

 

歯石を取って歯の表面をツルツルに!

歯と歯石テキスト

歯科医院に行った時に、「歯石を取りましょう」と言われた経験がある人は多いと思います。

しかし、なぜ歯石を取らなければならないのでしょうか?

 

答えは、歯周病の治療のためなんです!

 

プラークは、ツルツルの歯の表面よりもギザギザの歯石の上の方が繁殖しやすいのです。

しかも、プラークを取り残すと早い人で2日、遅い人でも14日経過すると歯石になってしまい、余計にプラークがついてしまうという悪循環を生み出していきます。

 

「えっ、そもそもの原因である、プラーク歯石を作っている!?」

そう!そこなんです!やはり諸悪の根源はプラーク。すべては、そのプラークの取り残しから引き起こされる負の連鎖なのです。

 

プラークがつきにくい環境を作る最も重要な治療が歯石取りなんです。

歯石の付き具合は人によって違い、その治療回数・治療期間は違いますが、まずは徹底的に歯石を取り、歯の表面をツルツルにしてもらいましょう!歯石は自分では絶対に取れないので歯科医院で専門家に取ってもらい、歯石が付きにくい環境を整えましょう!

 

しっかりとした虫歯治療を受けましょう!

治療後に放置した歯のテキスト

「何で虫歯の治療?」と思われる方がほとんどだと思います。

プラークが段差に留まって繁殖することは、先ほどご説明しました。虫歯は、歯に穴が空いている状態です。これは段差ですよね!?そりゃあ、プラーク溜まります。

しかも、虫歯は自然治癒しないですから、治療しないと虫歯も歯周病もどっちも進行してしまいます。これも悪循環、どこかで食い止めないといけません。

 

治療した歯がじわじわと悪くなることは、以前お話しさせて頂きました。歯周病の悪化に関わるような古い虫歯の治療や被せ物には、的確な治療が必要です!痛みがある虫歯だけが治療の対象ではないのです。

この点は、なかなか理解しづらいところだと思います。私も日々の診療に従事していて、説明が難しいと感じています。

やはり、「削らない」ことが重要です、「削る」から「守る」治療へ!

 

歯周病治療の基本の「ん」

治療中の村上氏

大学受験の時に、センター試験を受けた方はわかると思いますが、全教科満点ってなかなか難しいですよね?私なんか、センター試験当日にインフルエンザにかかり、苦い経験をした思い出しかありません。

 

日々の清掃(セルフケア)もなかなか満点は難しいです。

メインテナンスにお越しになる方で、セルフケアが「よし!満点です!」って言える人は、ほとんどいません。

私たち専門家でも、歯石が溜まるので“定期的に取る”というメインテナンスは必要です!的確なインターバルで、メインテナンスのためにかかりつけを受診しましょう!

 

日々のセルフケアはもちろん大事ですが、専門家の定期的なメンテナンスを受けることで、以下のようなメリットがあります。

  1. 日々のセルフケアの不十分な点を補ってもらい、改善点をしっかり学ぶことができる!
  2. 治療後にまたついてくる歯石を、歯周病が進行しないうちに除去でき、歯科医院専用の器具で歯の表面をツルツルにできる!
  3. 歯周病の検査・虫歯の進行のチェックを定期的に行うことで、現状維持出来ているかを確認でき、もし進行していても小さな治療で対応できる!

これらのことは、歯科医院の設備と専門家の目がないと出来ません。

 

皆さんも気軽に通えるかかりつけを見つけてください。自分の一生に関わることですので、かかりつけ選びは妥協をせずに!

 

 

アートな歯医者のちょっと真面目な話、ぜひこれも読んで欲しい!!!

https://selfmedia.club/column/tooth/murakami06/

https://selfmedia.club/column/tooth/murakami05/

https://selfmedia.club/column/tooth/murakami04/

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