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歯科受診率ワースト1位!?親もほったらかしがちな中高生の「歯育て」とは?

2020年10月26日

今回のコラムは、「歯育て」シリーズ第5弾!!とうとう最終回ですっ!!
成長期真っ只中の12歳から18歳までの時期の「歯育て」についてお話したいと思います。

男の子は13歳頃に成長のピークを迎え、18歳頃までは成長が続きます。一方、女の子は11歳頃にピークを迎え、16歳頃まで成長します。この時期は身体的にも精神的にも成長が著しく多感な時期なので親としても接し方が難しいこともあるかもしれません。

今回は、そんな親と子供の距離を意識する時期の「歯育て」についてお話ししようと思います!

歯科医院との距離を縮めようっ!

歯科検診を受ける子供うちのクリニックでもそうなんですが、この中学生・高校生の年代の歯科受診率は極端に低く、さらに二極化する傾向にあります。10代の虫歯の進行は恐ろしく早い!「歯科検診の結果を見てからでいいや」って、言ってたら一気に進行しちゃいますよ!

第二大臼歯

小学校のうちに大体の歯が生え揃いますが、実は13歳から15歳くらいの間にもう一本永久歯が生えてきます。それが第二大臼歯(だいにきゅうし)と呼ばれる6歳臼歯(6歳頃に生える奥歯=第一大臼歯)の一つ後ろに生える永久歯です!

前回のコラムでもお話ししましたが、生えたての永久歯は脆く、虫歯への抵抗性が低いです。それはこの第二大臼歯も同じ、高校生の歯科検診にいくと、この歯が虫歯になっている子をよく目にします。
この時期に見落としがちな、この第二大臼歯の虫歯のフォローのためにも定期的なメインテナンスは欠かせませんね!

侵襲性歯周炎

歯周病はおじさんの病気!?
確かに年配の方に多いのですが、実は、成長期においても急速に進行する歯周病があるのです。それを侵襲性歯周炎(最近の分類では少し扱いが変わっているようですが…)と言います。

この歯周病の怖いところは進行が早く、気付いた時には歯を抜く直前の状態になっていることです。歯周病専門医でも対処が難しく、早期発見・早期治療が大事な病気です。1000人から2000人に一人という確率の病気ではありますが、決して無視できないものです。
統計的に家族性であることが言われている歯周病ですので、ご両親のどちらかが歯周病で早くに歯を失った事があるのであれば要注意かもしれませんね。

マウスピース(マウスガード)

中高生になるとスポーツも体の成長に合わせて本格的になり、そうすると、怪我も自然と大きなものになってきます。格闘技・ラグビー・アイスホッケーなどのフルコンタクトスポーツなどではマウスピース(マウスガード)は必須ですが、実は野球・サッカー・バスケットボールなどの※リミテッドコンタクトスポーツに分類されるものにもマウスピースは推奨されています。
※リミテッドコンタクトスポーツとは、相手と接触することもあるが、距離を置くことを主とする形式のスポーツ。(出典:Wikipediaより)

実際に日々の診療の中で、前歯の治療をされている方に問診をしていると、スポーツ・交通事故で前歯を失っている方が多いように感じます。そのスポーツもラグビー・格闘技で失う方もいるのですが、意外と野球・サッカー・バスケットボール・テニスなどのリミテッドコンタクトスポーツで失っている方が多いです。

この原因は、マウスピースの普及率にあると思います。実際、歯を失った時のお話をお聞きしていると、ほとんどのケースでマウスピースをしていれば防げたことばかりです。つい先日も、Jリーグの試合中に選手の前歯が2本折れるというアクシデントがありました。
本格的にスポーツをしている子供達の、口の周りの大きな怪我と脳を守るためにマウスピースは重要だと思います。一度、かかりつけ歯科医に相談してはいかがでしょうか?

本格矯正は成長期が終わってなるべく早くっ!

矯正治療は虫歯・歯周病治療と違って治療期間がかかります。なので、そのタイミングが重要になってきます!その子のライフプランに合わせて最適なタイミングを考えましょう!

若いと歯が動きやすい!

成長期は終わっているとはいえ、骨格的には未成熟なのが中高生です。それは、歯を支える顎の骨も例外ではありません。
矯正治療は歯に適正な力を加えて骨の中を移動させる手法です。なので、硬くなってしまった骨より、未成熟な骨の方が歯は動きやすいのも理解ができると思います。

本格矯正治療の開始時期はなるべく早い方がいいとされています。私も矯正治療を行いますが、やはり、子供と大人では全く歯の移動しやすさが違います。その分、治療期間も短くなすることも可能です。その点も踏まえて、本格矯正を考えているのであれば早めに開始することをオススメします!

タイミングをはかるべし!

人生には節目があります。中学入学、高校受験、高校進学、大学受験、大学進学などがこの時期の子供たちの大きなイベントでは無いでしょうか!?この節目において環境が大きく変化して、生活が一変する子たちもいるかもしれませんね。

矯正治療は、それなりの定期的な通院期間が必要になります。反対に言うと、本格矯正の一年半から二年の間に通院が中断される可能性があるのであれば、中途半端に矯正治療を行わない方がいいこともあります。

受験から進学、転勤などによる引越しなど考えられるのであれば、タイミングを考慮する必要があるでしょう。具体的に言いますと、中3、高3からの矯正は進学や就職の見通しが確定していて、通院が継続できる場合でないと行いません。矯正治療の特性上、転院というのが難しいのでお子さんのライフプランに合わせてタイミングをはかりましょう。

「歯育て」のまとめ

陸上競技を見守る女性「歯育て」についてシリーズにしてまとめてきましたが、私のコラムの中でも最長のシリーズとなりました。私も永く歯科治療に携わってきましたが、やはり予防が一番重要だと考えています。
実は、「歯育て」は究極の予防なんです!
皆さん、8020運動という言葉をご存知でしょうか?
80歳で20本以上の歯を残しましょう!という運動なのですが、その8020達成者の口の中を矯正学的に診断したところ、歯並びが正常の範疇でない人はほぼ0という結果でした。つまり、歯並びが良くないと歯は残らない!というのが現実です。

歯並びがいいと、セルフメインテナンスもプロフェッショナルケアも非常に行いやすい。これは紛れもない現実です。また、その育成ができるのが「歯育て」なんです!私がこれだけ力を入れて語ることもご理解いただけたのではないでしょうか?

私は中学・高校と真面目に歯磨きをしていませんでした。歯科検診ではいつも歯の治療に行く様にという結果をもらっていましたが、親には見せずに捨てていました。そのせいで、虫歯と軽度の歯周病にさらされていました、今でもその時に虫歯になった第二大臼歯の虫歯と共存しています。

この年代の子供たちで矯正治療をしている子達以外は、ほぼ、定期的にメインテナンスしている子はいないのが現状です。中高生になる前に定期検診を定着化させるのがやはり重要でしょう。子供の「歯育て」は親の責任です!未来のためにもまずは親子でメインテナンスに行きましょう。

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