親知らずって抜かないといけないの!?あなたにも迫り来る親知らずの恐怖!!
2020年11月27日
目次
朝晩の冷え込みが日に日に厳しくなり、体調を壊しやすい季節の変わり目ですが、皆さんは元気にお過ごしでしょうか?季節の変わり目に、一番奥の歯が腫れた経験がある方も少なくないのでは?
そう!今回は、「親知らず」についてお話したいと思います。
医療の進歩によって、「親知らず」のあり方も少し変化してきています。そんなお話も含めて解説したいと思います。
そもそも何で親知らずっていうの?
諸説あるとは思うのですが、私が知っている語源は二つです。
語源①
「親が知らないうちに生えるから!」
「親知らず」が生えるのは20歳から25歳くらいに生えてくると考えられています。一般的には大学生・社会人になっている年代ですよね!そうなんです、「子供が親元を離れて親が知らないうちに生えている歯」ってことで、「親知らず」と言われるようになったという説が一つあります。
20歳を超えると立派な大人です。そりゃあ、親も知らないうちに生えますよね。
語源②
「親を知らずに生えてくるから!」
先ほどもご説明しましたが、親知らずは20歳から25歳くらいに生えてきます。今でこそ、人生100年時代ですが、織田信長が生きた500年前は人生50年と言われていました。そんな時代であれば、我が子が20歳を迎えずに亡くなる方も多かったでしょう。そうです、歯が生える頃には、親が死んでしまっていることから「親知らず」と呼ばれるようになったというのがもう一つの説です。
今ではあまり現実的ではないですが、親を知らずに生えてきたから「親知らず」だそうです。
いずれの説にしても、その生えてくる年齢が由来だということです。ちょっと周りの人に自慢してみてはいかがでしょうか!?
親知らずってなんで痛くなるの?
「親知らず=痛くなって抜く」というのが一般的なイメージではないでしょうか?
では、なぜ「親知らず」が痛くなったり、腫れたりするのかを説明していこうと思います。
虫歯になって痛くなる
親知らずは、正式名称を第3大臼歯と言い、口の中で一番後ろに生えてくる歯になります。なので、口の中で最も磨きにくいところにある歯であることは間違いありません。かくいう私も親知らずではありませんが一番奥の歯が虫歯で、もうかれこれ20年程共存しています。
そんな磨きにくい一番奥の歯=親知らずは、毎日のメインテナンスを怠ると一気に虫歯が進行してしまいます(虫歯の進行に関しては以前のコラムを参考に!)。そして、虫歯が歯の中の神経にまで達すると歯髄炎(しずいえん)になり我慢ができない痛みになるのです。
また、一番奥であるが故に歯科治療に使用する器具・材料がうまく届かず、痛みを取るために抜歯を選択せざるを得ないこともあります。これが、虫歯になった親知らずの結末なのです。
歯周病が進行して腫れる
「親知らずが横向きに生えてるんですよ」なんてことを、耳にしたことはありませんか?
下の親知らずは、手前の歯を押すように横向きに生えてくることが少なくありません。これを専門用語で水平埋伏(すいへいまいふく)と言うのですが、こんな生え方をするとタチが悪いのです!
一つ手前の歯との間にはプラークが停滞します。(プラークについてはこのコラムを参考に!)そうすると、歯周病が悪化して歯を支える骨と歯肉を溶かして、顎が腫れるくらいまで、その中で歯周病菌を増殖させるのです。あー、もう書いているだけで痛くなります…。
こうなると、親知らずは百害あって一理なし。抜くしかないですね。しかし、簡単に抜くと言ってますが、この水平埋伏の親知らずは抜くのも大変なんです。実際に、大学病院などの施設でしか抜けないようなものもあるのです。
虫歯・歯周病のいずれかが原因であって、親知らずだけが特別な理由で抜歯になる、ということはあまりないのです。矯正治療などで止むを得ず抜かなければいけない場合を除くと、ほとんどが他の歯と同じ理由で抜歯に至ります。
親知らずを抜かないという選択肢
先生によっては親知らずを見つけるとすぐに抜きましょうという方もいらっしゃいます。
「さて、親知らずはそんなにお口の中にあってはいけないものなのでしょうか?」
実は、親知らずまで含めて綺麗に32本の歯が緊密に噛み合う方もいらっしゃいます。そんな方は全く抜く必要はないと思います。また、医療の進歩により親知らずの立場も変わりつつあるのも事実です。
歯の移植という選択肢
日本人が歯を失う原因の半分以上は、虫歯と歯周病が原因ですが、歯を抜いたところに何らかの形で歯を補うことが必要になります。その選択肢の一つとして親知らずの移植という方法があります。
すべての方で可能な処置ではないのですが、抜いた歯と親知らずの形態が似ていたり、親知らずが抜きやすい生え方であるなどの条件をクリアしていれば、選択肢としてはとても魅力的なものだと思います。
私も日頃から10年後、20年後の患者さんのお口の中を想像しながら診療に向かっていますが、親知らずをそんな時のために頑張ってしっかり磨いて綺麗な状態で残しておきましょうと説明することもよくあります。
まだ見ぬ再生治療の可能性
最近の医療の進歩のなかにIPS細胞による再生治療というものがあります。このIPS細胞というものは、体の中の様々な組織から作ることができるようになっています。ある組織から得られた細胞からIPS細胞を作るのですが、実は歯からもIPS細胞を作ることも可能となっています!
これは、とても大きな可能性を秘めています。
例えば、他の病気で悩まされている時に、親知らずからIPS細胞を作成し、その病気を治す事ができる日が、そう遠くない未来で可能になると思います。
大事にした歯が、未来の自分の助けとなる
いかがでしたか?
親知らずを大事にしようと思いませんか?
まだ、確立していない技術ではありますが、30、40年後の未来では可能になっていると思います。そんな未来のためにも、抜かないという選択肢が可能であれば、しっかり磨いていい状態を保ちましょう!
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