法人化するなら株式会社?合同会社?メリット・デメリットを知っておこう。
2019年10月13日
目次
「個人事業主を卒業して法人化しよう。」
独立をして事業を続けているうちに、このように考える方も少ないないはずです。
個人事業主を経て法人化することを「法人成り」と言いますが、法人成りをする場合、選べる法人格が複数あることをご存知でしょうか?
数ある法人格の中でも、よく出てくる法人格が「株式会社」と「合同会社」。
他にも、「一般社団法人」という名称を耳にする機会も多いかもしれませんね。
さて、あなたは法人化する場合、どちらの法人格を選ぶか決めていらっしゃいますか?
今日の記事では、法人格の種類と、よく耳にする「株式会社」「合同会社」の違い、そして、わたし自身が法人成りをする際に感じたことをお伝えしていきたいと思います。
【はじめに】 法人格は「営利目的」と「非営利目的」によって分けられる
まず、「株式会社」「合同会社」の話しをする前に、法人格の種類について触れていきます。
法人格と一言で言っても、様々な種類があります。
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- 特定非営利活動財団
- 有限責任事業組合
※有限会社も存在はしていますが、2006年に有限会社法が廃止されたため、今は新たに設立することはできなくなっています。
そして、これらの法人格を「営利目的」「非営利目的」という基準で分けると、以下のように分けられます。
営利目的で設立される法人格
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
非営利目的で設立される法人格
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- 特的非営利活動財団
- 有限責任事業組合
法人設立における「営利目的」と「非営利目的」の違いとは何か?
非営利目的と聞くと、ボランティア活動をしないといけないのか?公益事業でないといけないのか?と思ってしまいそうですが、実はどうではありません。
非営利目的の法人格でも収益を上げる事業を行ってもOKです。
では、何を持って「営利目的」「非営利目的」と分けているのかと言うと、「上がった収益を構成員に分配するかどうか?」です。
営利目的の団体の場合、収益が上がったら、その利益を株主に分配をします。(1株当たりの配当金がこれにあたります。)非営利目的の団体の場合は、収益が上がっても構成員に分配をしません。分配をせずに、団体の活動目的達成の費用として使うと言うことができます。
もちろん、営利目的の団体であっても、非営利目的の団体であっても代表者・役員等は役員報酬を得ることは可能です。
今、一般社団法人を立ち上げるケースも増えてきています。
事業内容に特に制限等はありませんが、非営利団体なので、利益を上げることが主体ではなく、「共通の目的のために集まって活動する団体」に向いている組織形態と言えるでしょう。
インストラクターを養成する機関や、何かの技術を世に訴求させていこうとしている協会が、一般社団法人を選ぶケースが多いです。
営利団体である「株式会社」と「合同会社」の違いとは何か?

営利目的の法人格というと、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つに分かれます。
「株式会社」と「合同会社」が出資者の責任が有限であることに対して、「合名会社」「合資会社」は出資者の責任が無限であるため、設立時に「合名会社」「合資会社」と選ぶというケースは、今はほとんどありません。
(責任が無限・・・会社が損失を被った場合に、その損失額の全てを出資者が上限なく責任を負わないといけないということ)
そのため、多くの場合、法人設立というと、「株式会社にするのか?合同会社にするのか?」という選択肢になるわけです。
さて、「株式会社」「合同会社」それぞれの違いを見ていきましょう。
株式会社にするメリット
1、知名度・信用度が圧倒的に高い
最大のメリットと言っても過言ではないでしょう。今は会社法が変わり、資本金1円〜株式会社を設立することができるようになりましたが、以前は、株式会社を設立する場合には資本金が1,000万円必要でした。
それだけ、設立するハードルが高かったからこそ、今でも信用性の高い法人格と言えます。企業取引においては、「株式会社であること」を、取引先選定の条件にしているところもあるほどです。
2、資金調達の選択肢が広い
小規模で事業をしている場合は、あまり恩恵を感じられないかもしれませんが、株を発行し資金調達できるのが株式会社のメリットの一つです。
3、出資者は有限責任である
合名会社・合資会社とは異なり、出資者の責任は有限です。そのため、万が一事業が先行かなくなった時は出資金が返還されないリスクはありますが、それ以上の責任は問われません。
株式会社にするデメリット
1、設立費用が合同会社よりも必要
株式会社を設立する場合、登録免許税が15万円〜かかります。また、公証人による定款認証に5万円かかります。これらは、合同会社の場合は、登録免許税が6万円〜、公証人による定款認証は不要となっています。
2、会社組織の運営に細かなルールがある
株式会社にした場合、組織運営に細かなルールがあります。また、公告義務があるため、例えば、取締役の任期が変わった、取締役が増えたなど、運営に変更が生じた場合、定期的に登記や公告の費用も必要になります。
合同会社にするメリット
1、設立費用が株式会社よりも安い
合同会社の設立に必要な登録免許税は6万円〜です(株式会社の場合は15万円〜)。
また、公証人による定款認証にかかる費用(5万円)も合同会社の場合は不要なので、予算を抑えて法人格を取得することが可能です。
2、会社運営の手間が少ない
株式会社とは異なり、決算の公告義務がありません。また、出資者の合意形成をするための株主総会等も必要がないので、意思決定を早くすることが可能です。
3、出資者は有限責任である
株式会社と同様、合同会社も有限責任というメリットがあります。
合同会社にするデメリット
1、知名度・信用度はまだ低い
合同会社は2006年に創設をされた制度です。アップル・西友・P&Gなどの大手企業も合同会社という組織形態を取っていますが、合同会社を選択肢している企業は全国で5万社ほどです。
また、代表者の肩書きも「代表社員」となり、株式会社の「代表取締役」とは異なるため、聞きなれない印象も持たれがちです。
2、資金調達の選択肢が株式会社に比べると少ない
合同会社の場合、株という概念がないため、株を発行しての資金調達はできません。
女性が法人化するなら、株式会社が良いのか?合同会社が良いのか?
どの法人形態を選んだとしても、それぞれにメリット・デメリットがありますが、株式会社にするのか?合同会社にするのか?の2択で考えた場合、私は「株式会社」をオススメします。
その理由は「社会的信用度の高さ」です。
確かに合同会社に比べると少し設立費用は高いかもしれません。運営も少し煩雑かもしれません。しかし、その少しの投資と少しの煩雑さで、信用が手に入れられるとしたら…それは大きなチャンスになります。
特に法人向けにサービスを提供している方、今後法人向けサービスを強化していきたい方には強くオススメしたいです。
なぜなら、お客様が個人の方がほとんどといいう場合は、合同会社にされている方も多く見かけますが、法人のお客様と関わっていると、取引先のほとんどが株式会社だからです。(一部、個人事業主も)合同会社って、ほとんど見かけません。
『郷に入れば、郷に従え。』
サクっと株式会社で設立をして、今までは舞い込んでこなかったお仕事のチャンスをどんどん手にしていきましょう。
私も株式会社にして3ヶ月ほどですが、既に法人格にした恩恵を多分に受けています。
一番感じた変化は、個人事業主の時は「三浦さんは何ができる人ですか?」と、個人でできる範囲でしかビジネスチャンスがなかったのですが、法人にしたことで「御社が展開している事業は何ですか?」と、主語が変わり、ご提案できるサービス領域が格段に広がったことです。
社名も「女子トク」とわかりやすいので、「女子トクの三浦さん」と社名も含め、可愛がっていただいています。
まとめ
法人成りをする場合、選択できる法人格は複数存在します。
女性の起業に多い、資本少なく起業をして事業拡大をしていく場合、非営利目的であれば、一般社団法人、営利目的であれば、株式会社か合同会社という選択をするケースが多いです。
私は自分自身の体験談も踏まえ、法人向けサービスも強化していきたい場合は特に株式会社をオススメします。
しかし、選ぶ法人格ごとにメリット・デメリット、設立・運営にあたっての要件が異なりますので、設立を検討される場合は、専門家の先生に相談をして納得して決めていきましょう。
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