フッ素を塗っときゃ大丈夫?そんなのうっそー!フッ素の効果的な使い方!
2020年1月6日
目次
皆さんの中で携帯電話をお持ちでない方はいらっしゃいますか?
こうしてコラムを読んでいるのも携帯電話をお使いの方が多いのではないでしょうか?
現在のような便利な生活になった背景には先日ノーベル化学賞を受賞された吉野彰さんが開発に携わったリチウムイオン電池の存在が大きいと思います。畜電池の小型化により様々なものが小型化を促進したことは紛れもない事実だと思います。
そんな吉野さんが化学に目覚めたのは小学校4年生の時に担任の先生に勧められて読んだ「ロウソクの科学」という本との出会いだったそうです。
私も皆さんのお口の関心が高まったキッカケは「アートな歯医者のちょっと真面目な話」でしたと言ってもらえるように頑張っていこうと思います!
今回も虫歯予防の続き、フッ素についてお話ししたいと思います。
『フッ素を塗っておけば虫歯にならないと思っていませんか?フッ素も正しく使わないと十分な効果は発揮できません!効果的な使い方を学んで実践しましょう!』
フッ素とはなんぞや!?

元素記号:F、元素番号:9、分子量:19
地球の地殻の中で17番目に多い元素です。フッ素は非常に反応生の高い元素で自然界の中でフッ素化合物として主に存在しています。
私も高校・大学と化学の講義を受けてきましたが、この原子番号や化合物の化学式には頭を悩まされました。皆さんの身近に存在するということを知っておいて頂ければ大丈夫です。
- 河川・海
- 土
ん?水と土の中に含まれるんであれば…
そうなんです!私たちが口にするほとんどの農畜産物・飲料などに含まれているのです!
実はフッ素は生命を維持するためには必要不可欠なものと考えられています。特に歯と骨を作るためには必要な「石灰化」という過程には欠かせない元素であり、欧米では長年にわたり必要な栄養素として、所要量が策定されているのです。
フッ素は毒!?
皆さんの中でフッ素は毒と認識されている方がいらっしゃるかもしれません。確かに過剰摂取は急性中毒を起こす危険があります。これは他の栄養素にも言えることですが、取り過ぎはよくないと言うことです。
具体的に言うと、中毒になると悪心・嘔吐などの症状が出ることがあります。4歳児(15kg)がフッ素配合の歯磨き粉を一本まるごと飲み干したりすることがあれば気分が悪くなったり、嘔吐したりといった症状が出るかもしれません。
もし、お子さんが謝って歯磨き粉を一本飲んでしまったとしたら、牛乳を飲ませてください。牛乳の中のカルシウムとフッ素が結びついて排出されるので中毒は防ぐことができます。
他の栄養素もそうですが、いい塩梅というものがあります。正しくその量を理解して使うことが大事ですね。
歯に対するフッ素の効果!

「フッ素が歯にいい」ということを漠然と知っている方は多いと思います。以下の見出しではその効果について3つのポイントに絞って説明していきたいと思います。
フッ素が歯に働きかける効果①再石灰化の促進

前回のコラムでお話した「脱灰」と「再石灰化」と言う言葉を覚えていらっしゃいますか?
簡単に復習すると、歯はむし歯菌が出す酸によってその表面が溶かされてむし歯になります。これを「脱灰」と言います。しかし、お口の中の清掃が行き届いて綺麗な状態だと唾液中の成分によって歯は修復されます。これを「再石灰化」と言います。
歯は日常生活の中でこの「脱灰」と「再石灰化」を繰り返してその均衡を維持しているのですが、このフッ素はその「再石灰化」を助けて、歯の修復を促進する働きがあります。これにより、「再石灰化」が優位になりむし歯に対する抵抗性が向上するのです。
フッ素が歯に働きかける効果②歯質の強化

Ca10(PO4)6(OH)2+2F–→Ca10(PO4)6F2+2OH–
小難しい化学反応式が出てきました。
簡単に言いますと、高濃度のフッ素イオンが存在する条件では歯の表面に存在するエナメル質の結晶構造が変化します(このエナメル質も第2回のコラムの中で詳しく説明していますので参考にされてください)。
本来の結晶構造であるハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)の-OH基が-F基と交換されフルオロアパタイト(Ca10(PO4)6F2)となります。
ハイドロキシアパタイト<フルオロアパタイト
そうなんです!
歯の表面のエナメル質は高濃度フッ素の効果で、より緻密で安定した結晶構造であるフルオロアパタイトに変わるのです!
このフルオロアパタイトは耐酸性が強化され、むし歯菌の産生する酸への抵抗力が向上し、むし歯になりにくい歯になるというわけです。
フッ素が歯に働きかける効果③抗菌作用

フッ素はむし歯菌の中には取り込まれると、むし歯菌の代謝系酵素(エノラーゼ)を抑制して、酸の産生を抑制します。
さらに、フッ素はむし歯菌から飛び出し、近くのむし歯菌に取り込まれてフッ素の濃度をどんどん高めていきます。このように、フッ素はむし歯菌の酸を産生する力をどんどん抑制して歯が溶けるのを防いでくれるのです。
これまでの話を聞いていると良いことだらけのフッ素ですが、フッ素さえ塗っとけばむし歯にならないじゃんと思っているアナタ!そんな簡単なものではないのです!
知って得するフッ素の効果を120%発揮する歯磨きの仕方

フッ素を効果的に使うときに大事なことはいたってシンプル!!
次のことに注意するだけで効果テキメン!!
「まずはしっかり歯を磨きましょう!」
これはよく考えると当然なんです!
歯にむし歯菌や食べカスがついているとフッ素は歯の表面には行き届きませんよね?
これではフッ素の歯を強くする効果は十分に得る事が出来ません。
フッ素を毎回の歯磨きで使う必要はありません。1日1回、出来れば寝る前の歯磨きの時がベストです!
具体的には…
- いつもの順番で歯磨き粉を付けずにブラッシング
- フロスと歯間ブラシで歯と歯の間もスッキリ
- フッ素入りの歯磨き粉を1cmくらい歯ブラシにのせて最後に軽くブラッシング
- うがいをせずにそのままおやすみなさーい
えっ?うがいしないのー?って思われているアナタ!
そうなんです!うがいしない方がいいんです!!
「フッ素が作用するための時間を確保しましょう!」
歯磨き粉を付けて歯ブラシをして、すぐにうがいをしてしまうとフッ素が作用する時間がほとんどありません。せっかくフッ素を使ったのに効果は十分引き出せず、もったいないですね。
最初からフッ素入りの歯磨き粉を使うのもありかもしれませんが、ブラッシングの途中で唾液と混ぜってドンドン薄くなりますよね、本当に効果が期待できるブラッシング終了時にはフッ素濃度が低くなりすぎて効果が薄れてしまうのです。
私も実際に行うことがありますが、フッ素を効果的に作用させるためマウスピースを使用する事があります。マウスピースの中にフッ素を塗布して歯に付けてもらうことで、唾液などの影響を受けずに十分な濃度を維持してフッ素が作用する時間を確保する事ができるのです。
どうでしょう?
ここまでフッ素のお話をしてきましたがご理解いただけましたでしょうか?
CMで「高濃度フッ素配合」とアピールされますが、「フッ素の正しい使い方説明書付き」なんてアピールはないと思います。実はその本質は正しい使い方にあるのです!最後にまとめたフッ素の効果的な使い方、ぜひ、今夜から実践してみてください。必ず、10年後、20年後のあなたのお口の環境に役立ってくれますから。
アートな歯医者のちょっと真面目な話、ぜひこれも読んで欲しい!!!
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