食べることは体の基本!食べ方から始まる1歳から3歳までの「歯育て」!!
2020年8月3日
目次
今回のコラムは前回の続き、「歯育て」シリーズの第2弾です!
前回はお母さんのお腹の中から1歳までの間にできる「歯育て」のポイントについてお話させて頂きました。今回は1歳から3歳までの「歯育て」についてお話します。
えっ、いつまで続くの「歯育て」シリーズ!?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私も子育てを通してとても大事な「予防」だと考えています。また、私の勉強不足で十分に「歯育て」をしてあげられなかった息子たちへの懺悔も兼ねてコラムを書いておりますのでお付き合いください。
「感染の窓」って!?

皆さん、「感染の窓」という言葉をご存知でしょうか?
これは乳歯の奥歯が生え始めてから、生え揃うまでの1歳半から2歳半くらいまでの期間を「感染の窓」と言います。
何の感染かと言いますと、虫歯菌の感染です!
この時期に生える乳臼歯(子供の歯の奥歯)は形が複雑で虫歯菌が定着しやすく、周りの大人・兄弟から虫歯菌が子供に移るのです。この時期の環境が悪いことで、一生の虫歯リスクが決まると言っても過言ではありません。注意点をいくつか挙げていこうと思います。
離乳食の食べさせ方!
私の記憶の中でも、離乳食を食べる赤ちゃんはとてもかわいいものです。また、自分の食べる速度に比べると非常にゆっくりとしているので、食べさせるのに時間が掛かるのも事実です。
でも、急いでフーフーせずになるべく自然に冷まして食べさせましょう。このフーフーから虫歯菌が移ります!
お子さん専用の食器・コップを!
お子さんの年齢が近いと、食器やコップを一緒に使うことがあるのではないでしょうか?つい、自分が使っているお箸でお子さんに食べさせていませんか?
小さなことですが、こんなことから少しずつお子さんに虫歯菌が移るのです。それぞれのお子さん用の食器とコップを使って虫歯菌の伝播のリスクをなるべく軽減してあげましょう!
家族みんなで歯科医院でクリーニングを!
お子さんを囲む大人・兄弟に虫歯菌が多いと、感染のリスクは格段に上がります。
皆さん、ご自分が虫歯菌がない、もしくは、少ないと言い切れますか?なかなか、自信がある方はいらっしゃらないのではないのでしょうか?
お子さんに虫歯菌を移す量を完全に「0」にすることはほぼ不可能です。しかし、できるだけ少なくする努力は可能です。ぜひ、ご家族で歯のクリーニングに行かれてください!
お子さんとのスキンシップも取りたいですよね!?神経質になってお子さんと触れ合う時間が無くなるより、お口の中を家族みんなできれいにして笑える方がいいと思います。
そこのお父さん!あなたもですよ〜!家族みんなで健口を維持しましょう!!
歯の本数に合った食事の取り方を!
自分の子供の成長の過程でも経験があるのですが、子供が食べることが出来るものは年齢では決まりません。このくらいの年代の子供の歯の生え方は個体差が大きく、一定ではありません。
まずは、お子さんの歯の本数を把握して、その本数に合わせた食事を考えてあげましょう!奥歯の生えていない子に、無理に食べることができないものを食べさせても逆効果です。
「齢=よわい」という漢字の中に「歯」が入っているのも、人間の成長段階を表現するのにいかに「歯」が大事であるかを示しているのかもしれませんね。
奥歯が生える前
乳歯は前歯から生え始め、乳中切歯・乳側切歯と呼ばれる歯が上下左右合わせて8本生え揃うと離乳食から固形物を食べることが出来るようになります。これらの歯は文字通り「切る」ことが目的の歯です。なので、何度も何度も噛み切らせて食べ物を切ることをしっかり覚えさせましょう!
この時期に大事なことは、前歯で切った食べ物を口の奥の方に運ぶことです。この時期にスプーンなどで食べ物を口の奥に無理矢理入れるような食べ方をさせると、様々な機能の発達が遅れて前歯の並びに影響が出てきます。
ここで大事にしたい感覚が、
- 舌を使う!
- 手づかみ食べ!
手から食べ物の硬さ・大きさ・温度を感じてひと口の大きさや量を覚えていきます。そして、前歯で噛み切った食べ物を舌を使って奥へと運んでいきます。こぼさないようにと親がいつまでも食べさせていると手と舌の機能も育たないのです。お箸やフォーク・スプーンなどを覚えるのは3歳以降で十分です。
奥歯が生えたら
乳歯の奥歯を乳臼歯と言います。文字通り乳臼歯は固形の食べ物をウスのようにすり潰すために使う歯です。なので、これらの歯が生えるまでは肉や米粒などのすり潰すことが必要な食べ物はうまく食べることができません。
たまに、こんな相談を受けます。
「うちの子、まだご飯を食べられないんですけど大丈夫ですか?」
この年代のお子さんは、歯の生えるスピードにかなりの個体差があります。年齢で食べることが出来るものを判断するのではなく、歯の本数と種類で判断しなければいけません。お子さんの生えているお口の環境に合わせて、食べさせるものを考えてあげてください。判断が難しい時は気軽にお近くの歯科医院で相談されるといいでしょう。
飲み込む力と噛む力

乳児と成人は飲み込み方が違うことをご存知ですか?
それぞれを「乳児型嚥下」と「成熟型嚥下」と言います。(※食べ物を飲み込む動作を専門用語で嚥下と言います)
両者の大きな違いは、その舌の使い方にあります。また、大人の間でも噛む力はそれぞれ違いますが、大人と子供では全く違います。噛むために使う筋肉はもちろんですが大人と子供では歯の本数も違います。
この項では飲み込む力と噛む力を育てるポイントをお話したいと思います。
ストローではなくコップで!
「乳児型嚥下」は、舌を前に突き出しながら行います。歯のない時期は問題ないのですが、歯が生えていると前歯を押す力となり前歯が出っ歯になってしまいます。前歯が出っ歯になると前歯で噛みきれなくなり前歯の機能が十分に成長しません。
このような状態になっている子たちを見ていると一つの共通点があります。それがストローです!ストローを使うことで、子供さんはいつまで経っても「乳児型嚥下」からなかなか抜け出せません。これはストローで飲み物を飲む行為と「乳児型嚥下」が似ているからなのです。
「成人型嚥下」は舌を上顎に押しつけてながら飲み込むので、上顎に適度な刺激を与えてくれます。これにより、上顎は横に広がる力がかかり歯が並ぶスペースを確保してくれるのです。
逆にストローを吸う時は、頬をすぼめる力がかかるので歯には外側から力がかかり、上顎が広がるのではく、狭まるので歯が並ぶスペースを確保できなくなってしまいます。
食事をする時はストローではなくコップを使い、「乳児型嚥下」から「成熟型嚥下」への成長を手助けしてあげましょう!
ゆっくりと時間をかけて!
乳歯と永久歯、それぞれがすべて生えると何本になるかご存知でしょうか?
答えは乳歯20本、永久歯28本(親知らずは含みません)です。この8本の違いは思いのほか大きく、食べる効率は全く違います。また、そのすべてが臼歯と呼ばれる奥歯なので噛む力の差に大きく影響しています。
お子さんと食事するときに、どうしても急かしてしまうことってありませんか?
しかし、子供と大人ではその噛む力・噛む効率は全く違うので食事にかかる時間も全く違いますよね。子供の健全な顎の成長を促すためには、ひと口ごとに20回噛むことを意識しましょう!20回噛んで唾液と食べ物をしっかり混ぜてすり潰すことで上下の歯が正しく噛み合って顎が正しく広がり、歯が並ぶために必要なスペースを確保できるのです。
無理に急がせたり、お茶を含ませて流し飲みするようなことはさせずに、ゆっくり食事をさせてあげてください。食卓にはあえてお茶をおかずに唾液が十分に出すトレーニングも実は必要なことなんです。ただ、食事を長くするのではなく、機能を獲得するためのトレーニングだと思ってゆっくり食事を楽しみましょう!
親子で検診へ
乳歯の歯並びが完成してくるのが3歳前後です。「歯育て」が上手くいっていないお子さんでは、この頃には歯並びが悪くなる予兆が見えてきます。
ご家庭だけではなかなか完璧に「歯育て」をすることは難しいです。しかし、抱え込む必要はありません、そんな時は専門家の力を上手く使いましょう。親子で検診にいくことで、虫歯のチェックとできることから始めましょう!
この時期から「削る」ではなく「守る」メインテナンス型の通院をしていると、お子さん達も歯医者さんを嫌うこともないと思います。親子で上手く歯科医院を利用してくださいね。
アートな歯医者のちょっと真面目な話、ぜひこれも読んで欲しい!!!
https://selfmedia.club/column/tooth/murakami11/
https://selfmedia.club/column/tooth/murakami09/
https://selfmedia.club/column/tooth/column-murakami01/
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